2025年4月から、国民健康保険料の上限額が大幅に引き上げられ、年間最大109万円となることが決定しました。これは昨年から3万円もの増額で、高所得者を中心に大きな負担増となります。
この記事では、フリーランスや個人事業主、自営業者の方に向けて、国民健康保険料の仕組みから具体的な削減方法まで、初心者にもわかりやすく解説します。
1. 2025年の国民健康保険料値上げの詳細
上限額:106万円 → 109万円(3万円増)
2025年度から国民健康保険料の年間上限額が以下のように変更されます:
- 医療分:89万円 → 92万円(3万円増)
- 介護分:17万円(変更なし)
- 合計:106万円 → 109万円
この値上げの対象となるのは、年収約1,170万円以上の高所得世帯です。全加入世帯の約1.5%が該当する見込みです。
2. 国民健康保険料の仕組みを理解しよう
削減方法を知る前に、まず国民健康保険料がどのように決まるかを理解しましょう。
2-1. 均等割と所得割
国民健康保険料は主に2つの要素で構成されています:
- 均等割:世帯の加入者数に応じて決まる定額部分
- 所得割:前年の所得に応じて決まる変動部分
均等割は1人あたり数万円、所得割は所得に対して7〜12%程度の料率が適用されます。市町村によって具体的な金額や料率は異なります。
3. なぜ値上がりが続くのか
国民健康保険料の値上がりには、以下のような構造的な要因があります:
- 少子高齢化の進展(2025年問題)
- 医療費の高騰(最新設備・技術導入)
- 現役世代の減少
- 外国人の医療保険利用問題
特に2025年は団塊の世代が全員75歳以上になる「2025年問題」により、高齢化率が急激に上昇し、医療費負担がさらに増加することが予想されています。
4. 国民健康保険料を削減する9つの方法
ここからは、実際に保険料を削減できる具体的な方法を9つ紹介します。すべて合法的な方法ですので、安心して活用してください。
方法1:均等割を削減する
均等割は世帯の人数に応じて決まるため、世帯人数を減らすことで削減できます。
対策:結婚や同居を避ける、または世帯分離を検討する
ただし、これは現実的ではない場合が多いので、他の方法と組み合わせることが重要です。
方法2:所得割を削減する
所得割は前年の所得に基づいて計算されるため、所得を下げることで削減できます。
対策:経費を漏れなく計上し、課税所得を圧縮する
- 交通費、通信費、備品購入費など
- セミナー参加費、書籍代
- 事業に関連する接待交際費
方法3:青色申告特別控除を活用する
青色申告を行うことで、所得から最大65万円の特別控除を受けることができます。
効果:年間最大65万円の所得控除
複式簿記による記帳とe-Taxでの電子申告が条件となります。
方法4:電子申告で控除額をアップする
電子申告(e-Tax)を利用することで、青色申告特別控除額が10万円増額されます。
効果:55万円 → 65万円の控除(10万円アップ)
方法5:経営セーフティ共済を活用する
中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)の掛金は、全額が必要経費として認められます。
効果:年間最大240万円の経費計上
- 月額5,000円〜20万円まで選択可能
- 40ヶ月以上加入で掛金全額返還
- 取引先倒産時の資金調達も可能
注意:2024年10月の改正により、解約から2年以内の再加入時は掛金が損金計上できません。
方法6:業界の健康保険組合に加入する
業界団体が運営する健康保険組合に加入できる場合があります。
効果:所得に関係なく定額の保険料
- 建設業:建設連合国民健康保険組合
- 医療関係:各種医師・歯科医師国保組合
- その他:業界ごとの国保組合を調査
方法7:減免制度を利用する
所得が前年より大幅に減少した場合や災害・失業等の特別な事情がある場合、減免制度を利用できます。
対象:前年所得の7割以下に減少した場合
- 事業の廃止や休止
- 災害による損害
- 失業や病気による収入減
方法8:世帯分離を検討する
家族がアルバイトを始める際に世帯分離することで、均等割を削減できる場合があります。
効果:1人分の均等割削減+子の所得による減免適用
注意:家族関係や住民票上の問題があるため、慎重に検討が必要です。
方法9:マイクロ法人を設立する(最強の削減方法)
小規模な法人を設立し、社会保険に加入することで国民健康保険料を大幅に削減できます。
効果:年間109万円 → 年間25万円程度(約84万円削減)
マイクロ法人のメリット
- 役員報酬を低く設定することで社会保険料を最小化
- 個人事業での所得に関係なく保険料が一定
- 扶養家族も追加料金なしで加入可能
- 厚生年金加入で将来の年金額アップ
マイクロ法人の注意点
- 法人設立費用:15万円〜25万円程度
- 年間維持費用:税理士費用等
- 制度変更リスク(将来的な改正の可能性)
- 事業の実態が必要(同一業種でも管理を分けることで可能)
5. まとめ:今すぐ実践できること
2025年の国民健康保険料値上げに対して、以下の優先順位で対策を検討することをおすすめします:
すぐにできること
- 経費の見直しと適切な計上
- 青色申告への変更+電子申告
- 業界の健康保険組合を調査
中期的に検討すること
- 経営セーフティ共済への加入
- マイクロ法人設立の検討
重要:制度は合法的に活用し、専門家との相談を推奨します
特に高所得者の方は、マイクロ法人設立による削減効果が非常に大きいため、税理士や社会保険労務士と相談して検討することを強くおすすめします。
今回紹介した方法を組み合わせることで、年間数十万円の保険料削減も十分可能です。ぜひ実践してみてください。



